お店の話  第3話

お店の話  第3話

A「おはようございます!」



店主「おや、昨日のお方。ずいぶん熱心ですね。ところでお名前はなんていうのですか?」



A「失礼しました。私は、小山内 拓 と言います。よろしくお願いします。」



店主「私は、わいん蔵・南十字星の店主で、内田と言います。それでは、まずワインがどのようにできるのか生産のプロセスをお話ししましょう。何か質問があったらいつでもどうぞ。」



拓「よろしくお願いします。」



店主「ワインの生産を大きく二つに分けると、手作り生産と機械生産だと私は思います。ブドウの収穫は、8人ほどが2チームに分かれて、200mほどの2列の棚を2人づつ向かい合い、はさみで一房づつ切り取って自分用のバケツに入れていきます。バケツが一杯になったらトラックの荷台に移しそれを時間が来るまで何度も続けます。トラックが一杯になると直ちに醸造工場に運んでブドウと枝の分別機で分けたブドウをスティールタンクに投入し、これが一杯になったらイースト菌を入れて、糖分をアルコール発酵させます。」



拓「手作りと機械生産の違いは、ここではどこにありますか?」



店主「いい質問です。機械生産は、ブルドウザーみたいな巨大きなバキューム車でブドウ棚を両側から挟むようにして吸い上げあっという間に吸い上げて収穫します。」



拓「機械のほうが効率がいいですね?」



店主「そう、200mのぶどう棚を、機械だと6分、手摘みだと4人で3時間。このブドウ棚が140本ぐらいあるから、合計でどれ程の時間効率が良いか分りますね。」



拓「人件費もきっと高いし、機械で収穫したらいいじゃないですか?」



店主「これは生産者の経営哲学の違いというのでしょうね。手作り生産は、農地の規模が小さい、家族経営が多い、少量生産なのに対して、機械生産は、農地が広いあるいは他のブドウ生産者から購入する、大量生産とコスト削減が可能という違いが出ますね。」



拓「日本人には機械生産のほうが分かりやすいし絶対こっちを選ぶでしょう。」



店主「そうですね。生産コストを極力下げるのは日本人の得意技ですからね。だけど、日本でも、例えば、料理包丁を見ても、単価の安い外国製品と伝統のある鍛冶屋さんの手づくりと比べて、値段は全然違うけどそれぞれ買う人はいます。」



拓「包丁ならその違いははっきりと分かるけど、ワインは飲んでみないとわからないですよね。私なんか、ラベルの名前もわからないので、国と値段ぐらいしか分かりません。」



店主「日本酒でもいえるけど、大きく分けると純米酒と醸造アルコール酒に分けられることを知っているでしょう? この純米酒とワインの作り方は似ていて手作り感があります。」



拓「えーっ。日本酒って、大吟醸とか普通の日本酒とか品質の違いで分けていると思っていました。」



店主「大吟醸酒といっても純米大吟醸酒と、醸造アルコールを使用した大吟醸酒と2種類あるんですよ。」



拓「ひゃー、今まで、知りませんでした! また明日来ますのでよろしくお願いします。」


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